shugo hirao
平尾 修悟

unbirthdays – 20220522 fountain park (2.5D printed)

なんでもない日々の些細な出来事でさえ、思い返してみればかけがえのないものであったりします。抽象化された記憶は美化され、思い出すたび、そこに秘められていた価値の再発見と再生が行われているように思います。unbirthdaysという作品では、散歩中にふと撮影した映像、鑑賞者視点の映像、監視カメラの映像など、様々な手法で様々な記憶をアーカイブしています。そして本作では、そのようにアーカイブされた記憶からひとつを半立体的に印刷し、実物として記憶の質感を見て触れられるものとしました。この質感（手触り）はコンピュータで計算して自動生成されたものですが、指先でなぞり触れることでデジタルらしさは薄れ、温かみや懐かしささえ感じられます。記憶を実物として現像し、見て触れることのできる本作のこの体験は、鑑賞者にとっても、自身の記憶をなぞり、あったかもしれない些細な記憶を思い出そうとする体験になることを期待しています。またその時、その記憶は美化されその価値の再発見と再生を行うきっかけとなるでしょう。きっと私たちのなんでもない日々が、どうかとても美しく滑稽で愛おしいものであるということに気がつくための作品です。

H:450mm W:600mm D:10mm W（重量）:0.5kg

2022
UVインクジェットプリント